副業の税金:20万円のルールと住民税
「副業は20万円まで申告しなくていい」とよく言われますが、これは条件つきのルールで、しかも所得税だけの話です。国税庁などの説明をもとに、何が20万円なのか、住民税はどうなるのかを整理します。
制度の数字の確認日:2026-10-31。計算例の数字は説明用の一般的な例で、特定の人の給与や家計ではありません。
20万円のルールの正確な中身
国税庁の「給与所得者で確定申告が必要な人」では、給与を1か所から受けていて全部が源泉徴収の対象になっている人について、次のように説明しています。
- 給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要です。
ここで注意したい点は3つです。
- 収入ではなく「所得」で判定します。副業が雑所得や事業所得なら、所得=収入−必要経費です。売上が30万円でも、経費が10万円なら所得は20万円です。
- 給与の年収が2,000万円を超える人は、副業の所得にかかわらず確定申告が必要です。
- これは所得税の確定申告の話です。住民税には別の決まりがあります(後で説明します)。
副業も給与(アルバイトなど)の場合
給与を2か所以上から受けている場合は、年末調整されなかった給与の収入金額(ふつうは副業先の給与)と、給与・退職以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。 こちらは「所得」ではなく給与の収入金額で見ます。 ただし、給与の収入の合計から所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を引いた額が150万円以下で、ほかの所得が20万円以下の人は申告不要とされています(国税庁 No.1900)。
副業の所得の区分(一般的な説明)
- 国税庁は、雑所得の例として「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」を挙げています。ネットオークションやフリマアプリでの個人取引による所得も、一般的には雑所得とされています。
- ただし、古着や家財など生活に使っていた物を売った所得は非課税で、確定申告は不要とされています(国税庁 No.1906)。
- 事業として営んでいる場合は事業所得になります。どちらにあたるかは、仕事の規模・続け方などから個別に判断されます。
赤字の副業は給与と相殺できる?
所得の赤字を他の所得から差し引くことを損益通算といいます。国税庁の説明では、損益通算できるのは不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の損失で、雑所得の赤字は給与などから差し引けません。事業所得と認められる場合は差し引ける可能性がありますが、区分の判断は個別です。税務署や税理士に確認してください。
住民税は「20万円以下でも申告」が基本
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税は別です。例えば広島市は、給与所得以外の所得が20万円以下のため所得税の確定申告が不要の人も、市民税・県民税の申告書の提出が必要だと案内しています。 申告の方法や期限は、お住まいの市区町村の案内で確認してください。
住民税の所得割は、前の年の所得に対しておおむね10%(道府県民税4%・市町村民税6%)です(総務省)。自治体は自らの判断で税率を定めることができ、実際の税額はお住まいの市区町村で決まります。
住民税の納め方と「会社に知られるか」(一般論)
- 会社員の住民税は、ふつう会社が給与から天引きして納めます(特別徴収)。市区町村から届く納税通知書で自分で納める方法は普通徴収といいます(総務省)。
- 確定申告書の第二表には、給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税を「自分で納付」にする欄があります。ただし、自治体によっては条件によって特別徴収になる場合があると案内しています(例:東京都文京区)。
- 副業が給与の場合は、すべての給与を合算して計算し、原則として主たる給与の会社から特別徴収すると案内している自治体があります(例:東京都中央区)。
- 納め方を選んでも、会社に副業が知られないとは言えません。副業については、まず勤務先の就業規則を確認しましょう。
計算例:副業でいくら税金が増える?
例:本業の給与500万円、社会保険料75万円、扶養なし。副業は雑所得として、令和8年分の決まりで概算します(住民税は所得割10%の概算)。
| 副業 | 所得 | 所得税の確定申告 | 増える所得税 | 増える住民税(概算) | 手取りの目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 収入25万円・経費5万円 | 200,000円 | 不要の目安(住民税の申告は必要) | 11,231円 | 20,000円 | 168,769円 |
| 収入30万円・経費5万円 | 250,000円 | 必要 | 16,336円 | 25,000円 | 208,664円 |
| 収入10万円・経費30万円(赤字) | −200,000円 | 不要の目安 | 0円 | 0円 | −200,000円 |
※ この例では、本業だけの課税される所得金額が177万円(税率5%の区分)で、副業の所得のうち195万円までの部分に5%、それを超える部分に10%の所得税率がかかります(復興特別所得税2.1%を上乗せ)。住民税は所得割10%の概算です。本業の所得が高い人ほど、副業にかかる所得税の率は高くなります。 赤字の例は、赤字を本業から差し引かない前提です。
自分の数字では副業の税金と手取りで計算できます(このリンクは上の例の数字を入れて開きます)。
まとめ
- 20万円は所得(収入−経費)で判定。副業も給与なら、年末調整されない給与の収入で判定。
- 20万円以下で所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は必要とされています。
- 雑所得の赤字は給与と相殺できません。
- 住民税の納め方の選択で、会社に知られないことが保証されるわけではありません。
使える計算ツール
- 副業の税金と手取りを計算:確定申告が必要かの目安つき
- FIREまでの道筋をシミュレーション:副業の手取りを積立に足した場合
出典(公的機関のページ)
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁 タックスアンサー No.1906「給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
- 国税庁 タックスアンサー No.1500「雑所得」
- 国税庁 タックスアンサー No.2250「損益通算」
- 総務省「個人住民税」(所得割10%・普通徴収と特別徴収)
- 広島市「個人の市民税・県民税(住民税)の申告が必要なのは、どのような人ですか」
- 文京区「副業がある場合の徴収方法について」
- 中央区(東京都)「給与所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について」
- 国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」
- 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」