4〜6月の残業が1年間の社会保険料に響くしくみ

「4〜6月は残業を控えたほうがいい」と聞くことがあります。理由は、健康保険や厚生年金の保険料のもとになる金額が、この3か月の給与で決まるからです。しくみを順番に見ていきます。

制度の数字の確認日:2026-10-31。計算例の数字は説明用の一般的な例で、特定の人の給与や家計ではありません。

標準報酬月額とは

健康保険・厚生年金の保険料は、毎月の給与そのものではなく、給与を一定の幅で区切った標準報酬月額に料率を掛けて計算します。 日本年金機構は、標準報酬月額の対象になる給与を「基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与」と説明しています。標準報酬月額は、保険料だけでなく年金額の計算にも使われます。

4〜6月で決まり、9月から1年使われる(定時決定)

毎年7月1日の時点で働いている人について、4月・5月・6月に受けた報酬の平均から標準報酬月額を決め、9月から翌年8月までの標準報酬月額とします。これを定時決定といいます(日本年金機構)。 このため、4〜6月に残業が多いと、その分だけ高い標準報酬月額が1年間続くことがあります。

※ 支払基礎日数が17日未満の月は除くなど、細かい決まりがあります。いつ支払われた給与が「4〜6月の報酬」になるかも、給与の締め日・支払日によって変わります。

計算例:4〜6月だけ残業が多い場合

例:東京都・協会けんぽ・40歳未満。基本給・手当・通勤手当の合計が月30万円で、ふだんの残業代は月2万円。4〜6月だけ繁忙期で残業代が月6万円になったとします。

4〜6月の報酬の平均標準報酬月額健康保険+子ども・子育て支援金+厚生年金(本人・月)
ふだんどおり320,000円320,000円(23等級)45,408円
4〜6月が繁忙期360,000円360,000円(25等級)51,084円

この例では、9月から翌年8月までの保険料(本人負担)が月 5,676円、1年で約 68,112円 増える計算です。 4〜6月に増えた残業代は月4万円×3か月=12万円なので、残業代そのものが消えるわけではありませんが、後から一部が保険料として戻っていく形になります。

※ 協会けんぽ(東京)の令和8年度の料率(健康保険9.85%・子ども・子育て支援金0.23%・厚生年金18.3%、本人は半分)で計算。雇用保険は標準報酬月額ではなく毎月の実際の賃金に掛かるため、表には入れていません。

残業が増えただけでは、途中で変わらない(随時改定)

標準報酬月額が年の途中で見直される随時改定は、昇給・降給などで固定的な賃金が変わり、その後3か月の報酬の平均で標準報酬月額が2等級以上変わる場合などが対象です(日本年金機構)。 残業代のように月によって変わる部分だけが増減しても、ふつうは随時改定の対象になりません。

毎年4〜6月が忙しい仕事の場合(年間平均)

業務の性質上、毎年4〜6月に報酬が多くなる場合には、前年7月〜当年6月の1年間の平均で標準報酬月額を決める方法(保険者算定・年間平均)があります。 日本年金機構の案内では、通常の方法と年間平均で2等級以上の差があり、その差が業務の性質上例年発生する見込みで、本人が同意していることなどが条件で、手続きは事業主が行います。 当てはまりそうな場合は、勤務先の担当者に相談してみてください。

考え方のまとめ

使える計算ツール

出典(公的機関のページ)