残業を増やしたら手取りはいくら増える?
残業代は額面どおりには増えません。ただ、何がどれだけ引かれるのかを分けて見ると、「その月に増える手取り」と「後から効いてくるもの」があることが分かります。
制度の数字の確認日:2026-10-31。計算例の数字は説明用の一般的な例で、特定の人の給与や家計ではありません。
先にまとめ
- 社会保険料(健康保険・厚生年金など)は標準報酬月額で決まるため、その月の残業代が増えても、ふつうはその月の社会保険料は変わりません。
- その月に増えるのは主に雇用保険料(実際の賃金に掛かる)と所得税(源泉徴収)です。このため、残業代の大部分はその月の手取りに残ります。
- 一方で、4〜6月の残業は9月からの社会保険料に、1年の残業代の合計は翌年の住民税に効いてきます。
残業代の計算のしかた
法定の労働時間(1日8時間・1週40時間)を超える時間外労働には、割増賃金が払われます。割増率は25%以上、1か月60時間を超える部分は50%以上で、 2023年4月1日からは中小企業も60時間超が50%になりました(厚生労働省)。会社の決まりで、これより高い率にしていることもあります。
このサイトの残業と手取りの計算では、残業単価を「(基本給+手当)÷ 月平均所定労働時間 × 1.25」で自動計算するか、給与明細の単価を手入力できます。 残業単価のもとにする賃金にどの手当を含めるかには決まりがあり、会社によって計算が異なるため、正確な単価は給与明細や勤務先の規程でご確認ください。60時間を超える部分の割増は、ツールには入れていません。
計算例:残業時間ごとの手取り
例:東京都・協会けんぽ・40歳未満・扶養なし。基本給25万円+手当2万円+通勤手当1万円、月平均所定労働時間160時間。 標準報酬月額は28万円で、その月は変わらないものとします(住民税は入れていません)。残業単価は 27万円 ÷ 160時間 × 1.25 = 2,109円 です。
| 残業時間 | 残業代 | 社会保険料(健保・支援金・厚年) | 雇用保険料 | 所得税 | 手取り |
|---|---|---|---|---|---|
| 0時間 | 0円 | 39,732円 | 1,400円 | 5,370円 | 233,498円 |
| 10時間 | 21,090円 | 39,732円 | 1,505円 | 6,120円 | 253,733円 |
| 20時間 | 42,180円 | 39,732円 | 1,611円 | 6,870円 | 273,967円 |
| 30時間 | 63,270円 | 39,732円 | 1,716円 | 7,620円 | 294,202円 |
この例では、残業10時間(残業代 21,090円)で手取りは 20,235円 増え、残業代のおよそ96%がその月の手取りに残ります。 社会保険料の欄が変わらないのは、標準報酬月額を固定しているためです。
※ 2026年11月までの源泉徴収税額表(令和8年分・電算機計算の特例)で計算しています。税率は所得によって変わるため、給与が高い人ほど残る割合は小さくなります。
後から効いてくる2つのこと
1. 4〜6月の残業と、9月からの社会保険料
標準報酬月額は、原則として4〜6月に受けた報酬(残業手当や通勤手当を含む)の平均で決まり、その年の9月から翌年8月まで使われます(日本年金機構)。 4〜6月に残業が多いと、9月からの1年間の社会保険料が上がることがあります。詳しくは「4〜6月の残業が1年間の社会保険料に響くしくみ」で説明しています。
2. 翌年の住民税
住民税の所得割は、前の年の所得に対しておおむね10%です(総務省。自治体で異なることがあります)。 今年の残業代で所得が増えると、翌年の住民税が増えます。毎月の給与から引かれる住民税は前の年の所得で決まっているため、今月の計算には出てきません。
計算ツールの使い方
- 残業と手取りの計算を開き、基本給・手当・通勤手当・月平均所定労働時間を入れます。
- 標準報酬月額は、給与明細や通知で分かれば「50等級から選ぶ」を選ぶと、実際に近くなります。分からなければ「今月の総支給から推定」のままで構いません。
- 健康保険組合の場合は、組合の本人負担の料率を入れます。住民税は給与明細の月額をそのまま入れます。
- 結果の下の早見表で、残業時間ごとの手取りの違いを確かめます。
使える計算ツール
- 残業時間から月の手取りを計算:残業時間ごとの早見表つき
- ボーナスの手取りを計算
- 副業の税金と手取りを計算:残業ではなく副業で増やす場合